甘い執事の思うがまま。




次第に力が抜けていき、拓人の服をつかむのが精一杯になる。


「限界?」

余裕な笑みが私を見つめる。
その目には光が宿っていた。


息が乱れ、うまく呼吸ができなくなる。


「目が潤んでる…苦しかった?」

拓人の言葉に対し、素直に頷く。
苦しかったけれど、それ以上に甘くて満たされていたから。

抵抗なんて言葉、一切頭になかった。


「じゃあ、もっと苦しいキスをしてあげる」
「……っ、拓人ダメ」


本当はやめて欲しくないけれど、これ以上は色々限界だった。

恥ずかしさも、胸の高鳴りも、そして溢れてしまいそうなこの気持ちすらも。


ギリギリの状態で、拓人を拒否する。


「本当に、ダメ?」
「体が、もたなくて…」

「もしかして、練習不足なのかな?
それならもう少し、練習を増やそう」


練習とはきっと、キスのことを指している。
嬉しいような、恥ずかしいような。

複雑な気持ちになる。