「美紅の執事か、美紅の彼氏。
それとも……かわいい美紅を攫いにきた、悪い男?」
なぜだかゾクッとした。
拓人のその瞳に。
どこか野生のようで、危ない。
「美紅が選んでいいよ」
なのに拓人は、選択権を私に与える。
どうしよう。
今の拓人は、どうなんだろう。
私はなんて答えるのが正解なんだろう。
「じゃ、じゃあ……」
「うん」
「今の拓人は、悪い男の人、で……」
ドキドキしながら答える。
だってこの答えは、攫ってもいいと言っているようなものだ。
さすがの拓人も、この返答には驚いていたようで。
一瞬目を見張った。
「ほ、ほら……たまには、その」
ひとり、焦っているうちに、拓人はいつもの穏やかな表情に変わる。



