それから間もなくして、ノック音が聞こえてきた。
「……はい」
「失礼致します」
中に入ってきた拓人は、もう執事服ではなく。
白いシャツの、ラフな格好をしていた。
「拓人……!
まだ起きてたの?」
本当に目の前に拓人がいる。
それが嬉しくて、私は拓人を手招きした。
拓人は何も言わずに私の方へ来たかと思うと、すぐベッドに腰をおろした。
「拓人?」
いつもなら立っているのに。
別にそこまで気にしないけれど、拓人がいつもと違うような。
「今の俺は、何?」
「え?」
一人称が、俺。
つまり今の拓人は、執事ではない。



