甘い執事の思うがまま。




そんな自分にも恥ずかしくなって、さらに顔は熱くなるばかり。



「た、拓人……それは拓人じゃなくても」
「慣れておかないと、相手に失礼では?」


どこか甘さの含まれる声。
少し強引な物言い。

これは危険だ。


「お、お腹すいた!拓人ご飯!
ご飯の準備はできてる?」

寝起きのため、そこまでお腹は空いていないけれど、その場しのぎのためにそう言った。


「……もちろんご用意できております」
「なら今すぐ行く!」

「かしこまりました。それでは、こちらの話はまた後日に」

「……っ」


逃れられた……と思ったのに。
また拓人に話を戻され、結局逃げられないのだと悟った。

この話を今度したとして、その後はどうなってしまうのか。


そんなことを想像するだけでも恥ずかしくて、私は首を横に振り、その考えを頭から取り除いた。