「……ん」
ゆっくりと目を開ける。
誰にも起こされたわけでもない。
ただ目を開けると、頭にふと重みを感じた。
「お嬢様、お目覚めですか」
そして耳に届いたのは、優しい拓人の声音。
心地いいし、拓人がいるとわかれば安心感も胸に広がる。
「拓人……今何時?」
拓人は執事服を着ていたから、敬語へと変わっている。
「現在は8時でございます」
「は、8時……!?」
慌てて起き上がる。
「ど、ど、どうしよう遅れちゃう学校…」
「お嬢様、申し訳ございません。言葉に誤りがございました。20時です。午後の8時でございます」
「午後……へ、朝じゃない?」
てっきり朝の8時だと勘違いした私。



