「お嬢様、朝食の準備はできております」
「今日の朝ごはんは何?」
「お嬢様のお望み通り、パンにしていただきました」
そう言って、にこっと笑う拓人に対し、私は恥ずかしくなる。
「は、恥ずかしいよ……」
「そんなことないです。お嬢様の食べたいものを言っていただけたほうが、シェフも喜ぶかと」
「面倒くさい女だと思われない?」
「決して思いません」
そうなのかなぁ。
シェフの作る料理は好き。
美味しいものばかりだし、苦手な食べ物だって美味しく仕上げてしまうほどの腕を持つ。
だからこそ、私の好きなものが出てきた時は、さらに嬉しくなるのだ。
「ぜひ、私に言ってください。
私からシェフに連絡させていただきますので」
「本当に?ありがとう」
拓人になら、気にせずなんでも言える私。