その人は私の2歳年上で、確か6年生だったと思う。
同じクラスの男の子は、私に意地悪ばっかりしてくるけれど。
そのたびに彼はいつも助けに来てくれる、ヒーローのような存在の人だった。
正式な名前は覚えていないけれど、私は彼のことを“たっくん”と呼んでいた。
『大丈夫?』
意地悪されっぱなしで、限界が来た4年生の夏頃。
ひとりで泣いていた時、初めてたっくんに声をかけられた。
優しい雰囲気を漂わせていたたっくんに、私は意地悪されていることを話して。
そしたら『俺が助けてあげる』って、まだお互いのことを何も知らないのに、たっくんはそう言ってくれた。
その日から本当にたっくんは助けてくれ、なんとか4年生の最後の日まで泣かずに頑張ってこれたけれど。
最終日の今日は怪我をしてしまい、さすがの私も久しぶりに泣いてしまった。