「美紅、落ち着いて。
俺は美紅のそばにいるよ」
拓人が私の手に、自分の手をそっと重ね合わせた。
「じゃあ、どこにも行かない?」
「どこにも行かないよ」
良かった。
拓人は呆れるわけでもなく、ただ優しく笑って私の言葉を受け入れてくれた。
「じゃあ寝ようね、美紅。
疲れてるみたいだから」
「ごめんね、拓人……わがままで」
「これが美紅のわがままなの?だとしたらすごくかわいいなぁ」
拓人は私の不安を拭うようにして、頭を優しく撫でてくれた。
安心した私は、ようやく不安が消え、今度こそ目を閉じて眠りについた。



