甘い執事の思うがまま。





「……く、美紅」


どのくらい経ったのだろうか。
拓人に起こされ、私はゆっくりと目を開けた。

「ん……も、着いた?」
「うん、着いたよ。まだ眠たい?」

「眠たいの」


まだ離れたくなくて、拓人のシャツをきゅっと掴む。

拓人は反応を示さないため、またゆっくりと夢の中へ入っていきそうになったその時。


「ダメだよ、美紅。
先に外へ出よう」

拓人に眠ることを止められ、少しムッとしてしまった。


「ケチ」
「寝るなら家で寝よう」

「動きたくないの」
「じゃあ運んであげるから」
「本当?」


起きてすぐは体が重いため、なかなか動けない私は拓人に身を預ける。


「今日は目覚めが悪いんだね」

初めは抱きしめるような形で、拓人は私を外へ出した。


車から降りたら、今度はふわっと体が宙に浮き、拓人に抱きかかえられる。

お姫様抱っこ、だなんて考える余裕はなく、ただ大人しく拓人にしがみつく。


「嫌じゃないの?」
「嫌……?」
「ううん、なんでもない。寝てていいよ」


拓人にそう言われ、私はゆっくりと瞬きをした。
目を閉じたらすぐ眠れそうだ。


起こされて目を覚めたからだろうか、すぐうとうとしてしまい、これが現実なのか夢なのかとわからなくなってしまう。


そんな状態の中、拓人は私を抱きかかえ、足を進めていく。