それから車に乗り込み、今度は家へと向かう。
本当は私から説得しようと思っていたけれど、拓人から先に許してくれたため、その分肩の荷が下りた。
もしこれ以上拓人に食い下がって、嫌われたらどうしよう、呆れられた上に離れていったらどうしようって、マイナスな感情のほうが大きかった。
そのため安心した私に、今度は疲れがやってきてだんだんと眠くなってくる。
「美紅、眠たいの?」
「うん、眠たい……」
「着いたら起こしてあげるから、寝てていいよ」
「本当?ありがとう」
眠たい私に気づいた拓人が、優しく声をかけてくれた。
その優しい声が、さらに私を夢の中へと連れていく。
「ほら、俺にもたれかかっていいから」
拓人が私の肩を抱く。
自然と拓人にもたれかかる形になり、さっきよりもさらに眠れる体勢へと変わった。
「おやすみ、美紅」
その言葉を最後に、私は意識を手放していた。



