「……よしっ」
私は立ち上がり、制服に着替える。
中学の頃は学校に行きたくない気持ちと闘いながら着替えていたけれど、今は違う。
とても体が軽いし、なんなら早く学校に行きたいって気持ちのほうが強かった。
まだ高校生活が始まり、1ヶ月ほどしか経っていない。
だけど、その1ヶ月間、言葉では言い表せないほど楽しくて充実した期間だった。
とにかくみんないい人だし、親の価値で差別したりしない。
特に私たちのクラスは、“男女問わずの仲良し”クラスらしい。
そんな空気が好きだし、気を遣わなくていい。
まさに私の望んでいた高校生活だったから、夢が叶ったようで嬉しかった。
「拓人、着替え終わったよ」
着替え終わると、私は部屋を出る。
すると拓人は廊下で待っていて。