「門限っていうか、その……親が心配性で」

咄嗟についた嘘。
言ってから後悔した。

楓ちゃんに対し、嘘をついてしまったことに。


言葉通り、親は心配性ではない。
心配性なのは拓人である。


初めて楓ちゃんに誘われた時、友達と遊べることが嬉しくて、すぐに拓人に報告したのだけれど。

『美紅、ダメだよ』


拓人の口から出たのは、否定の言葉で。
拓人をデートに誘った時と、似たような状況だった。

学校以外で外に出ることを許してくれない。


だからといって楓ちゃんを家に呼べば、自分の家庭事情がバレてしまう。

それだけは避けたいから、もう私は誘いを断る選択しか残されていなかった。