「私が悪かったの、ごめんなさい…」
なぜ、今日一日で私は二回も謝らなければならないのだろうか。
一回目は恋人関係として。
二回目は主従関係だというのに。
「はい、よくできました。
それでは大人しく、キスの勉強をいたしましょう」
「……っ」
どうやら、謝ったから終わり……ではないようだった。
拓人は今も、キスの勉強をする気満々。
「お嬢様、目を閉じてください」
ここで反抗すれば、またさっきのやりとりを繰り返すだけ。
選択はただひとつ。
目を閉じ、拓人を受け入れる。
夜の静かな空気に、薄暗い部屋。
その雰囲気がなぜか危険に思えて、いつも以上にドキドキが止まらない、そんな気がした。