「お嬢様、謝る時は相手の目を見てください」
「……っ」
拓人の望むことをしたのに、彼はまた深く要求してくる。
「やり直しです。もう一度、初めから」
「ど、どうして……」
「素直に受け入れるのがお嬢様の良いところだったはずですが、今日はどうなさったのですか?」
その言葉、そっくりそのまま拓人に返してやりたい。
こんな意地悪なことして、私の反応を楽しんで。
言う通りにしたらしたで、悪化するばかり。
私は一度、心を落ち着かせるようにぎゅっと目を閉じたけれど、もちろん無意味な行為で。
拓人の目を見つめた頃には、また心臓がうるさいぐらい暴れだす。
この近い距離は、きっと数秒間見つめるので限界だろう。