「じゃあ、離れてくれないと眠れない…」
「その悪い唇は、一度塞いだほうが良さそうですね」
「……っ!?」
強引な物言いに、ぶわっと熱くなる顔。
執事姿の拓人は、忠誠心が強くて、誰よりも優しいはずなのに。
今の言葉は、本当に拓人が言ったのかと確かめたいほどだ。
「いつまでそう抵抗し続けるのですか?」
「だ、だって……ん…」
まだ粘ろうとしていた次の瞬間。
拓人に顎を持ち上げられたかと思うと、間髪入れずに唇を強引に塞いできた。
目をぎゅっと閉じ、視界を真っ暗にさせる。
結局キス、されてしまった。
ドキドキと高鳴る胸の鼓動は加速していき、全身に熱がまわる。
拓人が唇を離したかと思うと、顎に手を添えたまま、私をじっと見つめてきた。



