私が肯定すれば、拓人は小さく笑い、私から離れていった。
「それでは、ベッドのほうへ移動致しましょう」
「うん…」
拓人に手を引かれ、素直に従う。
エスコートされている気分で、今は拓人が執事に見えない。
上体を起こした形でベッドの上に乗ると、拓人に毛布をそっとかけられる。
「暑くないですか?」
「うん、暑くないよ」
「それなら良かったです。
もし何かあれば、いつでもお申し付けください」
「ありがとう」
拓人は私に笑いかけ、電気を消す。
真っ暗ではなく、常夜灯がオレンジ色に光り、暗闇を照らしていた。
寝る前はいつもこう。
拓人は私が寝るまでそばにいてくれて、寝るのを確認すると常夜灯も消して、ようやく執事としての仕事が終わるのだ。



