「いけません、お嬢様。
これ以上勉強しては」
目に感じる違和感。
これは拓人の手だ。
拓人の片手が、そっと後ろから優しく私の目を塞いだのだ。
「どうして?」
視界が真っ暗になった今、大人しくじっとすることしかできない。
「お嬢様は十分頑張っておられます。
きっと結果は出るはずです。
何より、お嬢様のお身体が心配です」
拓人の空いている手が、私の腰にまわされる。
それだけなのに、ドキドキしてしまう私。
「だからお嬢様、もう寝ましょう」
「……っ」
わざとだろうか。
拓人は私の耳元で、そう囁いてきた。
くすぐったくて、体が一瞬震えた。
「わかった、寝るから……」
諦めて、拓人の言う通り寝ることにした私。
早く離れて欲しくて、認めたのも同然だ。



