「お嬢様はどうしてそこまで頑張るのですか」
「拓人は賢いもん……私だって、賢くならないと」
以前、誰かが口にしたのを聞いたことがある。
拓人はいつも学年トップを争うほど賢いって。
そんな拓人が恋人で、執事でもあるのに私がバカだったら、彼にも迷惑がかかる。
テストで悪い点、悪い順位をとって、もし両親の耳に入れば。
拓人も責められる恐れだってある。
きっと両親は、私のことなんてまったく気にしていないのだけれど。
それでも、私がバカだったら学校で拓人に迷惑をかけてしまう場合だってある。
一応恋人同士なのだ、私だって頑張らないと。
そう自分に言い聞かせ、勉強を再開しようとしたら、突然視界が真っ暗になった。



