「た、拓人ダメ……嘘ついたの。
本当は楓ちゃんと津田くんから聞いて……」
本当にダメだと思った私は、観念した。
諦めて、本当のことを話す。
すると拓人の手が、ピタリと止まった。
「美紅の友達から聞いたんだね。早乙女さんと津田って男が、美紅に無駄な知識を教えているのか」
「無駄な知識?」
独占欲という言葉を知るのが無駄な知識なの?
「きっと、それだけじゃないよね?」
「え……」
「ふたりから聞いている話。
他にもたくさんあるはず」
「拓人?」
「悪影響だね」
拓人が一度解いた制服のリボンを、また付け直しながらそう呟いた。
「悪影響なんかじゃないよ」
ふたりと話すのは本当に楽しいし、毎日楽しい日々を送れるのもふたりの存在が大きい。



