拓人の体に手を置き、顔をゆっくりとあげる。
やっぱり拓人との距離は近い。
キスなんて簡単にできてしまうほど。
「顔、真っ赤だ。
火照ってるね」
「……うう」
できればスルーしてほしいのに。
拓人はわざと指摘してくる。
「あ、さらに熱くなっちゃった」
拓人が私の頬に触れ、反応を楽しんでいた。
「た、くとの……バカ、意地悪」
「こら、そんな暴言吐かない」
「意地悪なんだもん」
「だからって、相手に暴言吐いていいの？」
うう、そんなこと言って。
さっきまで楽しそうに笑っていた拓人が、どこか真剣な表情へと変わる。
「拓人が悪いの」
「悪いことしたって認めないのは、いけないことだね」
「だ、だって」
「言い訳する悪い口は、俺が塞いであげる」
ふと、また意地悪そうな表情へと変わって。
拓人は本当に、私の唇を塞いできた。
