視界も変わって、目の前に映ったのは拓人の綺麗な顔に、高い天井。
「あ、あの拓人……これって」
「何?」
お姫様抱っこ、というやつでは……?
そう理解した瞬間、顔が熱くなり、拓人のほうに顔を埋める。
「……ふっ、かわいい」
「拓人、なんでこんなこと…」
「手軽な移動手段」
「だからって恥ずかしいよ……」
ぎゅっと目を閉じるけれど、尋常じゃないくらいドキドキしているのがわかる。
少し拓人は歩くと、ソファの上で寝かされた。
もちろん私は起き上がった……けれど。
「こら、起き上がらない」
「ど、どうして?」
拓人に注意されてしまう。
「もー、せっかく寝かせたのに。
まあいいや、俺と向かい合って座って?」
拓人はそう言って、自分の膝の上にぽんと手を置いた。
つまり、膝の上に乗れ……と?



