甘い執事の思うがまま。




「もちろん違うよ」
「じゃあどうして拓人、私にキスして……」

「美紅がかわいすぎて、キスしたくなった。
それに美紅は俺の彼女。恋人同士なんだから、キスぐらいして普通だよ?」


ドキッとした。
その揺るがない眼差しが、私の胸を高鳴らせて。

拓人はさらっと、私を照れさせることを言うんだ。


「だ、けど……拓人と私は恋人のフリだから」

「フリだって思ってたら、恋人同士なんて演じられないよ。本物の恋人同士だって思わないと」


本物の恋人同士だと思う。
だから拓人は、私にキスをした?

ダメだ、頭が混乱してきた。
そんなことで拓人はキス、できるの?


私はこんなにもドキドキするっていうのに。