「お嬢様、よくお考えください。
私とお嬢様は、執事と主との関係です。
それなのに、誰が執事のことを尊敬した呼び方をしましょう?」
な、なんか軽い説教をされているような気分になる。
とりあえず彼が、すごく律儀で真面目な人ということはわかった。
「……じゃあ、拓人って呼んでもいい?」
言ってから恥ずかしくなった。
だって男の人を名前で呼ぶだなんて、慣れていない。
あれ、そもそも私、男の人が苦手なはずなのに、彼とは普通に話せている。
いや、きっと彼が優しく穏やかな雰囲気を纏っているからだろうと思った。
「……それでは、拓人とお呼びください」
“神崎”だと、どこか乱暴で、距離が遠く感じてしまうから、下の名前で呼ぶことにした私。



