甘い執事の思うがまま。




「あれ、榊原。
お前、先に教室出てなかったか?」

「あ、えっと……靴履き替えるの忘れてて」
「はあ?そんなことあるのか?」


うう、正直に言ってしまった自分が恥ずかしい。
明らかに不審な目で見てくる津田くん。

まさにその通りだ。

靴履き替えるのを忘れるだなんて、そんな恥ずかしいことをしてしまったのだから。



「少し浮かれてまして…」
「浮かれてた?」

「今日は拓人と勉強会するんだ!」
「へぇ、良かったな」


津田くんはそう言って、脱いだ上履きを靴箱に戻した。


「それで今日はやけに帰るの早かったんだ?」
「うん!津田くんはいつも早いよね」

「いつもお前がトロいんだろ」
「ひ、ひどいよ……!」


トロいだなんて、ひどい物言いだ。