「そっか、ならいいや」

「はい。そんなご心配、なさらないでください。
私はお嬢様のためなら、何でも致します」

「本当に、何でも?」
「もちろんです。早速何かあるのでしょうか?」


私の言葉を聞き、拓人は何かを察したようだ。
さすがは拓人、感情や言葉の読み取りがうまい。


「うん、あるの」

私は拓人の言葉に頷いた。


実は今日のお昼休み、楓ちゃんとご飯を食べていた時。

『ねぇ、美紅と先輩のデートってどんな感じ?』
『で、デート!?』


楓ちゃんは何気なく聞いたつもりの質問に、私は過剰に反応してしまい。


『え、なに……したことないの?』
『あ、も、もちろんあるよ?あはは……』

『だよね!やっぱり家近いからお家デートとか?
もうすぐテストだけど、先輩に教えてもらったりしないの?」』


苦し紛れの嘘だったけれど、何やら楓ちゃんは想像を膨らませていたため、なんとか乗り切ることはできた。