私は拓人の胸元に顔を埋める。

拓人の優しい抱きしめ方に、私の心は徐々に落ち着きを取り戻し。



もちろんこの状態も恥ずかしく、ドキドキするけれど。
顔を見られないだけずっとマシだ。


離されないよう、ぎゅーっと拓人にしがみつく。
それに応えてくれるように、拓人も抱きしめる力を強めてくれた。


「本当にお嬢様は危なっかしいですね」
「え……?」

「少しも目が離せません。
こんなかわいい生き物を、ほっとけない」

「い、生き物?」


生き物って、何のことを言っているんだろう。

思わず顔を上げそうになったけれど、今拓人とは距離が近いことに気づき、慌ててそれをやめる。


「はい、かわいいかわいい生き物です」
「うさぎとか、猫とか?」

「……ふっ、確かにそんな感じですね」
「でも、この家でペットなんて飼ってないよ?」

「それならペットにすればいいのです」
「……?」


よくわからないでいたら、拓人にそっと頭を撫でられて。

それが気持ちよかったため、私はしばらくの間、頭を撫でられた状態でぎゅっと拓人にしがみついていた。