鷺沼くんからの返事は意外だった。

「そうだと思ったんですよ」

「……」

私の気持ちの奥を見据えているかのように言った。

彼の洞察力は思っている以上に長けていたらしい。

「朱里さんの想い人は…芹永くん、でしょ?」

「……」

正直、彼の気持ちを踏みにじってしまったと思った。

今朝はあんなに可愛いストラップを私にくれたのに、そのあげた子から振られるなんて流石の鷺沼くんも辛いだろうと思った。

だけどやっぱり、気持ちに嘘はつけなかった。

「でも返事が聞けて良かった。これからも仲良くしてくださいね」

鷺沼くんはそう言うと、目を軽く潤ませながら階段を降りて行った。