4時間目を終えた頃、たくさんの生徒が購買部へと走っていく。

私は手に持ったうさぎのストラップを握り締めながら、鷺沼くんの席へと向かった。

「鷺沼くん」

「朱里さん?」

私から声をかけられることが珍しかったのだろう。とても驚いた顔をしている。

「あの…今日の放課後、C棟の5階に来てもらってもいい?」

今度は察したのか、表情を元に戻した。

「いいですよ」

鷺沼くんはその一言だけ放ち、軽い会釈をして教室から出て行った。