朝。

チリリリリリ。

私は、目覚ましがなりつつも布団の中でモゾモゾと動く。

やっとのところでベッドの横の棚に置いてある目覚まし時計に手が届き、音が鳴り止むのを確認するとまた安心して布団に潜り込む。

「朱里〜?朝ごはんよ。降りてらっしゃい」

遠くで母の声が聞こえる。
私はそれに気づきつつも布団の中ですやすやと寝息を立てる。


ドンドンドンドンドン!

階段を強く足踏みしながら歩く音が聞こえてくる。

「やばっ!叩き起される!」

私は慌ててベッドから飛び起き急いで支度を始めた。

気がついた頃にはもう遅かったようである。

「...朱里?」

長い沈黙と、ニッコリと微笑む母。

「お、お母さん...」

私は罰が悪そうに母の前を通り過ぎる。

「待ちなさい」

ふと顔をあげるととても怖い顔をした母がそこにいた。