「お帰り、音夢。」

お母さんの言葉も無視し、一直線にキッチンへ向かった。


流しの下の台を開け、包丁を取り出す。
今の自分が死んだら、パラレルワールドの自分も死ぬはず。


さようなら、私。


胸に包丁を突き立てた。

お母さんの悲鳴が聞こえる。

救急車を呼ぶお母さんの泣きわめく声。
血の臭い。

全てが遠く離れていった。