「谷川さん!」

先生の怒号が飛ぶ。私はびっくりして飛び上がった。

「さっきから先生の説明聞いていましたか?」
「………すみません。聞いていませんでした。」
「はぁ……説明はしっかり聞きなさい。」
「はい…………。」

ショボンと下を向いて席に座り直す。
何人かが私を見てあからさまにクスクスと笑う。

せっかく思い出の中に入り込めていたのに。

「さて、というわけで次の社会見学のバス席は自由です。次のホームルームの時間に決めたいと思います。」

そういうと、挨拶を済まし、先生は出ていった。