思いは海の底に沈む【完】

乙羽さんはタクシーを呼んで乗る




『じゃあ、今日はありがとうございました』

「はーい、またね。湊くん」


乙羽さんを見送る




それにしても、最後の質問は気が気じゃなかったな






見送った直後に、柊さんが走って向かってきた



「湊、お嬢様見かけませんでしたか?」

『あれ?さっきまで一緒にハンバーガー食べてたのに』

「またお嬢様はこっそり居なくなったと思ったら…。体に悪いものは食べるなとあれほど言っていたのですよ。湊も止めてください!」

『いや、俺も心配はしたんだけど乙羽さんのハンバーガー美味しそうに頬張ってるの見たら可愛くて止められないじゃない?』

「は!?まさか、お嬢様にまで手を出すおつもりですか!?」

『え…?俺彼女いるよ?
あ、そうそう、この前のキス騒動の事、もう別れたって事にしていい?今日乙羽さんが気にしててさ』

「…」






柊さんは黙りこくってしまった

まさか…。傷ついてるとか?



『ご、ごめん!
柊さん、あの時は確かにファーストキスだったかも知れないたいして好きでもない奴にされて黒歴史になっちゃったよね。
でも大丈夫。これから本命の人としたキスがファーストキスだよ』

柊さんの唇をなぞる


「っ」

咄嗟に柊さんは俺の手を掴んだ
捕まれた手はギリギリと痛い


やっぱり怒ってるよ…。どうしよう…