思いは海の底に沈む【完】

そもそも、柊さんは寡黙がスタンダードであって
べらべら喋ってるイメージ全くないんですけど!



「じゃあお願い。柊の彼女について聞いてみてくれない?お友達になりたいの」

『えぇ!?俺が?無理ですよ!
それに!乙羽さんみたいな綺麗な女性を目の前にしてしまえばその人は怯んじゃうから!』

「そんなことないわよ!綺麗の磨き方を知らないだけ。
やっぱり直接会ってお話がしたいわぁ
ドレスももう考えてあるのよ!見て!」


嬉しそうにスケッチブックを広げる乙羽さん
そんなこと言ったって…。
万が一、あのキス騒動で彼女が出来てるとか勘違いされてたら俺の首が絞まるだけだしなぁ






「ね、お願い!だって湊くん以外に親しい子なんて見たことないのよ
働き始めてからずっと私に付きっきりで休日も休みもせずに金魚の糞の如くくっついてきたあの柊の私が知る限りでは初の彼女なの!!知りたいじゃない?」


あー、キスが初めてって本当だったのか…。
でも、それだと柊さんの初恋って設定になるよね




『そ、それなら、尚更ほっとくべきです!!
柊さん、ただでさえウブそうなんだから…』

「湊くんは柊の味方か~。でも私より若くて綺麗な子に決まってるわ!」

『決まってないです!!』

「え?」

『お、女の子は外見じゃないっていうか…』

「さっすが湊くん。やっぱりいい男から出る言葉は違うわね!」



いや…。そうじゃないんですけど!



これは柊さんが狼狽える筈だな…。