思いは海の底に沈む【完】

久々に美代子さんから呼び出しがあった


いつもみたいに、家ではなく喫茶店だった


お洒落な喫茶店にたどり着くと
男性と楽しそうに談笑する美代子さんが見えた




「本当に息子さん、芸能人なの?」

「そうなの~」

『…。お母さん、どうしたの?』

「え。この子が息子さん?意外と大きいね」

「こんにちは。俺まだ17ですよ」







お母さん、なんて久々に呼んだ

婚約者に俺を紹介する
こんなパターンは初めてだ



一緒にいた男性は新しく俺の義父さんになる人だった



今度は結婚まで辿り着けたんだね






少し話した後、外に緑川さんが見えたので席を外す


『じゃあ、俺仕事行ってくるね。母さんをよろしくお願いします』

「行ってらっしゃい」




なんだか、母さんと呼べて久々に心が軽くなった気がした







美代子さん、今度こそ長く一緒にいられるといいね