思いは海の底に沈む【完】

なんとなく、後ろに下がるが柊さんはじりじりと追ってきた



とうとう、壁に着いてしまい逃げ場がない

柊さんはニヤニヤとした笑みを浮かべている


…ちょっと待って。この思考回路、予想できないんだけど

まさか俺まで範囲内!?緑川さんじゃなくて!?

だめだ。危険すぎる…。







『柊さん!待って、なんか勘違いしてるようだけど俺にも拒否権とか…あるよね!?』

「全部、アナタが悪いんですよ。
何でも言うことを聞くとか、その可愛い姿も全部私を狂わせる」



柊さんは俺の髪を弄んだ


これって…。やばい。男だったら誰でもいいのか!






柊さんの口に人差し指を立てる



『駄目だよ。この先は俺にも教えられない』

「…っ」

『早く女王様の元に帰らないと。だって、狗なんでしょ?』

「…」

お願いだからこれだけは…。





柊さんははっと気が付いたようで

ちゃんと俺から離れてくれた



柊さんの頭を撫でる



『よしよし。じゃあワンちゃん。ちゃんと飼い主の元に帰るんだよ?』