美代子さんと住む家に着く



美代子さんをもう離さなきゃ…。



もう、離れなきゃ…。




離れたとしてもきっと柊さんと一緒にいることは許されないだろう


それなら尚更。俺だけが嘘で塗り固められる訳がない






帰ると美代子さんはぼんやりとテレビを見ている



『ただいま』

「お帰り」

『美代子さん、今お話してもいい?』

「どうしたの?」

『もう、別れよう。終わりにしようよ、こんなこと』

「…何言ってるの?何で?湊は私を見捨てるの!?」

『違うよ。俺達がここで付き合っててこの先ある?こんなに嘘ついててつらくないの?』

「つらいのは湊だけよ!!」

『俺じゃないよ。だって俺達親子じゃん』

「だから捨てるの!?」

『捨てない!絶対捨てないよ。美代子さんの事大好きだもん』

「じゃあ別れるなんて言わないでよ!!」

『別れてもずっと一緒だよ。家族だもん』

「…いや!認めないから!!」

『だめ。現実見てよお母さ…』

「そう呼ばないで!!」

『じゃあもう我慢させないで!!俺はもう限界だよ!!女の子として生きたかったのに!!』

「っなんでっ…どうしてよ…」





泣き出す美代子さん

わかってた。一筋縄じゃ行かないこと





もう抱き締めてあやしてはいけない

俺は離れていくって決めたんだ








泣いてる美代子さんを置いて外に出た







考えてみれば初めて、美代子さんに強く言った