閉められたドアと、近づいてきた彼との間にはさまれる。





彼の整った顔が近くて心臓がうるさい。



「……」



さっきチラッとみえた刺青みたいなやつせいか、いつもと違う見た目のせいか…この至近距離のせいか。



なんか怖そうな雰囲気に逃げなきゃって思うのに。







今までしゃべったことないから
あ、意外と声低いんだ、とか


メガネ外した顔も見たことないから
意外と整ってんじゃん、とか



そんなことばっか考えてなぜか固まっちゃって。



「…」


「おーい?」



顔をのぞき込まれてはっとして。


後ろに退こうと思ったけど後ろにはドアがあり。


あたしの逃げ道は完全になくなった。