あの花火が散る前に

「生徒の皆さんは外に出てください。」


というアナウンスがかかった。


♪ 〜〜

ポケットで携帯が鳴る。


「もしもし?柊琉?」


「瀬那、今3階の空き教室いるから、来て。」


そんなとこに行ってもいいのか。


まあ怒られるときは二人一緒に。


そう思って階段をかけのぼる。


「とーおーるー!!!」


教室に入って柊琉に飛びついてみた。


「重っ。なんだよテンション高いな。」


そんな意地悪な言葉とは裏腹に


柊琉は嬉しそうな顔を見せた。


「始まるよ、花火。」


空に花火が打ち上がった。


今年二度目の柊琉との花火。


そして今夜も、花火は空に散っていった。


美しさの上に儚さを乗せて。