教室を出たとたん、キースは大きく息を吐く。

「トイラ、もっとやり方があっただろう。あれじゃ目立ちすぎだ」

「仕方がねえだろ。こっちも必死だ。あのカラスは嫌なものを運んできやがった。お陰でこの有様だ。手加減してしまったから、こうなっちまったんだよ。お前が手伝ってくれたらよかったんだよ」

「いつもなら僕の助けなんか必要ないって言うくせに、こういうときだけなんだよ」

 キースはぶつぶつ呟く。

「昨日、あれだけ猫を集めて情報を収集しても不振な動きはなかった。そっちも犬の力を借りたんだろ」

「ああ、遠吠えまでして確かめたけど、何もなかったよ」

「まさか学校に来るなんて……すっかり油断してしまった」

 トイラはユキを見つめて申し訳なくなった。

「しばらくは仕掛けてこないと僕も思った。アイツもかなりのダメージを受けてるからな。まさか、こんなにも早く動き出すなんて。だけどこうなるとユキの記憶が思ったより早く戻るかもしれない。そのときトイラの苦しみは少しは解放されるかもな」

 キースが慰めようとする。