3年前のあの日、あの人がいなくなってしまった。
それは今と同じ、晴れた暖かくて桜が美しい春の日のこと。
どこを探しても、二人で過ごしたあの部屋に行っても。もうどこにもいない。わたしの手の届かないところへいってしまった。
たくさんの贈り物と思い出とわたしを置いて、彼は遠くへいってしまったのだった。
信じたくなくて、でもそれは紛れもない真実で。けれども、思考が追い付いてこないまま彼は空へいってしまったようだ。空へと聳え立つ塔を通じて蒼を目指している彼を見つめていると初めて実感した。
嗚呼、もう、本当に彼はいなくなってしまったのだと。
誰にも気づかれないように無意識にわたしは、彼の一部をこっそり白いハンカチに包んであの場所を後にした。
軽くなったあなたに戸惑いを感じながら。
我に返り、直ぐ様に自分のしでかしてしまった行為に強い罪悪感を感じたわたしは、彼を蒼へと連れていくために、もう一度火葬をするかそれとも静かに眠らせてあげるために、桜色の瓶と共に埋葬するか迷いに迷った。
迷うような性格ではなかった筈なのに、なかなか決意は決まらずこんなにも優柔不断な所があったのかと、驚きを隠せなかった。


