桜色レヴァリー


その言葉だけでまたポロポロと桜の花びらのように舞う雫。
見れなくなった桜、飲めなくなったさくらんぼジュース。過去にしたわたし。彼はどんな気持ちでここで眠っていたのだろうか。

「忘れた振りをしててごめん。
ずっとユキくんはここで待っててくれたんだよね…?」

そっと手を伸ばし、桜の木に触れる。何故かそこがじんわり暖かくて、彼に触れている気がした。
小箱から溢れた想いは留まることを知らない。
思わず吐き出す叶わない願い。

「逢いたい…逢いたいよ、ユキくん…」

けれど、今のわたしじゃきっと逢えない。
嫌われるかもしれない。
元の、彼が好きだったわたしに戻らなきゃ。だって、ずっと。

「(愛していてほしいから)」

一迅の風が吹き、ぱぁと桜が散る。まるでそれは桜吹雪のようで辺りを薄紅に変えてゆく。
まるで彼がわたしの言葉と願いに反応してくれたかのように桜の花が舞い散る。
ゆらゆらと静かに舞い落ちる薄紅の欠片たちが、全て彼の一部なんだと思えて、涙が止めどなく溢れ思わずまた翔ちゃんの腕を借りて泣き崩れてしまう。