桜色レヴァリー


横転した車の下からユキくんの腕時計。そして道路に広がるさくらんぼジュース。

「あの時、何もいらないって言えば良かったのに…!わたしのせいで、わたしの…」

あれから大好きだったあのジュースも飲めなくなった。手に取ることも。 
桜を見ると約束も後悔も何もかも甦りどうしようもなく苦しくて。
記憶と想いを閉じ込めて過去にして動き出したと思わなければ雁字搦めになって桜に溺れていたかもしれない。

「誰もさくらのせいだなんて思わない…!」

強く肩を掴まれたかと思えば、そのまま翔ちゃんの腕の中に閉じ込められる。
暖かい感触が身体を巻きつける、けれどもそれも彼とは違う暖かさでそれがまた無性に哀しくて涙が溢れ出す。

「そんな悲しいこと言うなよ。誰がさくらのせいに出来る?
あいつだって、そんなこと夢にだって思ってないよ。」

「な…んで翔ちゃんがわかるの…?」

ふふっと笑い声が聞こえたと思えば、すっと身体は引き離され翔ちゃんと対峙する。
そこには赤く目を腫らして強がって笑う彼の姿があった。

「そりゃわかるよ。あいつとは親友だから
あと、どれだけユキがさくらのことが大切だったかも。」