桜並木。3年前、この道を手を繋ぎながら歩いた小道。「そろそろお花見の季節だね」なんて言うと、彼は「じゃあ駅前の夜桜のイルミネーション見に行こうよ」なんて笑う。
結局は行けなかったけれど、本当に行けたならきっと素敵だったのだろうと夢想するしかいまは術がない。
思い出の中央公園、彼が眠る桜の木。
満開に咲き誇る薄紅の欠片たち。
こんなにも美しいものだったのか、と3年越しに再確認する。埋葬してから逃げ続けたこの場所、勇気をだして木に触れる。すると途端に、何重にも封をしてしまい込んでいた記憶と想い、それに忘れようとした感情が、小箱から溢れ出し桜の花と共に甦って胸を締め付け始める。桜の木を見つめながら、幸せだった頃の残像を甦らせていた。あんなにも目を反らしていたというのに。
笑っていた。わたしも、彼も。
ポタポタと溢れ出した涙を止める術がわたしには見付けれずただ崩れ落ちる。
嗚咽をあげ咳を切ったようにただ、声をあげ続けた。


