桜色レヴァリー


あれから3年。気付けばすっかり翔ちゃんにも甘え続けた日々。そろそろ潮時かもしれないと、ベランダで蹲りながら涙を拭う。この街から離れない限りわたしはいつまでも幽玄な彼の幻影に囚われ続けてしまうのかもしれない。
だからこそ最後に行っておこう、あの日と同じ日に。そう固く決意をした。
ゆらゆらと薄紅の欠片は風にのってわたしのもとにも舞い落ちる。
それさえも見ないふりをして、スマホを手に取り翔ちゃんにメッセージを送る。決意が冷めないうちに。
すると直ぐ様に電話が掛かってきた。

「もしもし、」

【今のどういう意味だよ】

「…そのままだよ。ずっとごめんね、狡くて」

【だからそれは、】
 
「今のままじゃきっとわたし、翔ちゃんまで傷付けてしまう。
翔ちゃんは翔ちゃんで、自分の幸せ見つけて」

【さくら、俺は…】

そこで通話終了のボタンを押す。これ以上の言葉を言わせてはならないと思ったから。
ベランダの扉を閉め、薄手のパーカーだけを羽織って家を飛び出す。何故だろうか、彼に呼ばれた気がして。