『ごめん、ユウ。ちょっと体調が悪いんだ』

嘘をついた。

『大丈夫ですか?』

『…山崎さん、せっかく来てくれたのに、ごめんね。ユウ、今日は帰るよ、本当ごめん』

そう言って、僕はすぐに店を出た。

ユウ、ごめんな。

お前の顔を潰してしまったな。

ユウのことだから、いま、彼女のことをなだめてくれてるだろう。

僕は、頭を兄さんのことに完全に切り替えた。

調べないと...

探偵にでもなったつもりか、僕は、もう全く姿が見えなくなった兄さん達を探した。

いるはずもないのに。

あんなに仲良く話して、あんなに優しい笑顔で笑い合って...


今どこにいるんだよ。


兄さん、一体何を考えてるんだ。