もう、限界だった。 何もかも。 今、健斗が何を考えているのかも全部わからなくて。 「……健斗のバカ!今何考えてるのさ! 何に怒ってるの!? ちゃんと言葉にし……っ」 堪えきれなくなった私は、健斗にきつい言葉をぶつけてしまったその時。 背中に鈍い痛みが走り、健斗から奪い取ったはずの本が全て、床に落ちてしまう。 目の前には、怖いほど綺麗な健斗の無表情。 手首は棚のほうに押し付けられており、体がうまく動けない。