「まあ、本物の恋人ならな」 健斗が、真っ直ぐ前を向いてそう言った。 落ち着いた表情に声。 ドキッと胸が高鳴る。 そう、私たちは本当の恋人じゃない。 思わず黙り込み、俯けば、健斗にまた手を握られて。 恋人つなぎ。 「せっかくだし、恋人らしく行くか」 「……うん、そうだね」 私は、本物の恋人になりたい。 それくらい好きだよって、言えたらいいのに。 なかなか言葉にすることができない、弱虫。 もし、断られたら? 健斗が私のことを好きだということが、勘違いだったら? それが怖い。