「この作品、キスシーン多いのな」 「そ、そうだね……」 なんだ、映画も観てたのか。 いや、その言葉はちょっと観てる側として恥ずかしいけれど。 「でも俺はキスシーンなんか観るよりやりたい派」 「え……」 「今ここで」 「……っ!?」 こ、こ、こいつは! いきなり何を言いだすんだ!? 「ば、バカじゃないの?」 「ダメか?」 いや、そんな風に甘い視線を向けられても……騙されないぞ。 ここは映画館。 「ダメです」 「唯香」 健斗が体勢を立て直した。 そしての肩をそっと引き寄せる。