「け、健斗……」 「静かに」 静かにって言われても、健斗がこんな行動をするから悪い。 「唯香は集中しとけばいいから」 そんなこと言って、健斗は目を閉じてしまった。 もしかして寝るつもり? 無理矢理来てくれたのかな、なんて思いつつ、私は諦めて視線をスクリーンに戻す。 初めこそ健斗がおとなしかったから、つい映画に夢中になっていた私。 恋愛映画のため、だんだんと甘いシーンへと変わっていく。 好きな人とデートしたり、学校で周りの目を盗みながらキスしたり。