「かわいい」 私の反応を見て、健斗は嬉しそうだし楽しそう。 「ほ、ほら本編始まるから健斗も前向く!」 スクリーンに視線を移してほしくてそう言ったのに、健斗は一向に前を向かない。 「ね、ねぇ何こっち見て……」 「唯香こそなんで前向かない?」 「……っ、む、向きますとも向きます!」 健斗に言われた通り、私は先に前を向いた。 ちょうどそのタイミングで映画が始まり、主人公が登場した。 これは本気で見ないと……と思っていたら、健斗が頭を傾けて、私の肩に乗せてきた。